なぜ当院は「都度払い制」を貫くのか ── 開業当初から変わらぬ想い

なぜ当院は「都度払い制」を貫くのか ── 開業当初から変わらぬ想い

美容医療の世界では、コース契約や回数券、さらには医療ローンが当たり前のように用いられています。
経営の安定や利益の確保という点では、それが「正解」なのかもしれません。
しかし、トータルスキンクリニックは開業当初から一貫して「都度払い制」を貫いてきました。

なぜ都度払いなのか?」──その裏には、患者さんに安心して通っていただくための想いや、院長自身の体験から生まれた信念があります。

本記事では、院長と山田さんのインタビュー形式で伝えていきたいと思います。

インタビュアー山田

インタビューは私、山田が担当します。
お久しぶりです。どうぞよろしくお願いします。

①利益を考えればコースやローンを導入した方が良かったのに

「先生、正直に言ってしまうと…都度払い制って経営的には損じゃないですか?美容クリニックって、コース契約や回数券を売ることで安定している印象があります」

そうですね。利益だけを考えれば、コースやローンを導入した方が「正解」だと思います。
まとまったお金を先にいただければ、資金繰りは楽になりますし、広告や設備に投資できる余裕も増える。 
経営的には間違いなく安心です

「やっぱりそうなんですね。でも、だったらどうして最初から都度払いを選んだんですか?」

理由はシンプルです。「患者さんの立場に立つと安心できる仕組みを選びたかったから」ってだけです。
コースやローンで数十万円を一度に払うとなると、その施術が自分に合っているか分からないまま契約しなければならないです。正直、それってすごく不安じゃないですか?

「確かに…。私もいきなり10回コースと言われたら、尻込みすると思います。」

「なるほど…先生ご自身の体験も反映されているんですね。」

ええ。もちろん経営者として考えれば、都度払いは効率的ではありません。
1回ごとに支払いが発生するので、その都度患者さんに『次も来たい』と思っていただける努力が必要です。

でも、それこそが医療における誠実さだと感じています。都度払いは経営的には遠回りかもしれませんが、信頼を積み重ねる近道だと感じています。

利益より信頼を選ぶって、簡単に言えても実際にはなかなかできないことですよね」

とてもとても難しいことです。でも、患者さんに安心して来てもらうために、これが一番自然な形だったんです。

②コース契約・回数券の問題点

「でも先生、コース契約や回数券って、そんなに問題があるんでしょうか?患者さんからすると『1回あたりがお得になる』っていうメリットもあると思うんですが。」

確かに、全てが悪いわけではありません。誠実に運営されているクリニックもたくさんありますし、患者さんの立場から見ても『コストを抑えられる安心感』はあるでしょう。
ただ、私が医療現場で耳にしてきたのは、必ずしも良い面ばかりではなかったんです。

「例えば、どんなことですか?」

まず経営的な面でいうと、コース契約や回数券の売上は『将来の施術を先に受け取ったお金』なんです。
本来は負債として扱わなければならないのに、それを全額売上に計上してしまう経営者が少なくないのを知っています。
最初は潤っているように見えても、いざ施術を消化していく段階で資金が回らなくなる。
実際、そうした仕組みが原因で倒産したクリニックも見てきました。

「ああ、だから脱毛クリニックの倒産が相次いでいたんですね…」

そうなんです。もうひとつは『人の気持ち』の問題です。
コースでまとまったお金をいただいた患者さんと、初回で新規に契約してくれる患者さん。
忙しい中で両方の予約が入っていたら…どうしても『新しくお金を払ってくれる人を優先したい』という気持ちが出てしまうんです

「それは…人間として仕方ない気もしますね。」

そう。だからこそ怖いんです。
気を強く持って『全ての患者さんを同じように大切にしよう』と自分に言い聞かせても、心の奥底で優劣がついてしまう。
新規の方には笑顔で接しても、コースを消化している方にはどこか冷たい態度、雑な対応になってしまう、そんな話を何度も聞きました。
あるいは、消化の途中で別の施術を勧めて上乗せさせるといったやり方も横行していました

「なるほど…。サービス業としてはアリかもしれませんが、医療でそれをやると確かに違和感がありますね。」

私は自分の弱さを理解しているからこそ、最初から『都度払い』にしているんです。
都度払いなら、毎回が真剣勝負です。
新規の方もリピーターの方も、同じ気持ちでお迎えできる。
患者さんを裏切らないためには、これが一番誠実な方法だと信じています。

③倒産や不信の背景

「さきほど先生が触れていた倒産の話、もう少し詳しく聞かせてもらえますか?」

ググってもらった方が早い気もしますが、せっかくなので。
美容クリニックの倒産は特に医療脱毛のクリニックで目立ちましたが、コース契約を中心にしたところが相次いで経営破綻しました。
理由のひとつは、患者さんからいただいた『前受け金』を正しく扱えなかったことです。

「正しく扱えなかった、というのは?」

本来なら『これから提供する医療サービスのためのお預かり金』ですから、帳簿上は負債として残しておかなくてはならない。
でも、それを全額「売上」にしてしまう。すると見かけ上は儲かっているように見えるんです。
結果、そのお金を広告費に使ったり、新しい機器を購入したりしてしまう。けれど、患者さんは当然、まだ施術を受けに来るわけです。その時になって資金が足りない…という状況に陥るんです。

「なるほど、雪だるま式に崩れていく感じですね。」

そしてもうひとつの要因は『患者さんを軽んじてしまったこと』。
新規の契約を優先しすぎて、コース消化中の方の予約を取りづらくしたり、冷たい対応になってしまったり。
そんなことを繰り返していると、結局は信頼を失います。信頼を失った時点で、美容医療のクリニックは長く続けられません。

「確かに、予約が取れないと『お金だけ取られて放置された』っていう印象になりますよね。」

嘆かわしいことに、経営者の中には『期限が切れて未消化分が残れば、その分は利益になる』と考える人までいたと聞きます。
経営の仕組みとしては理解できますが、医療でそれをやると、どうしても誠実さと相容れない。私には耐えられませんでした。

「だからこそ先生は都度払いを貫いているんですね。」

ええ。都度払いにすれば、患者さんにとっても『来たいときに来られる安心感』がありますし、私たちも毎回まっさらな気持ちで施術に向き合える。
経営を安定させる近道ではありませんが、患者さんの信頼を失わないことが、結果的にクリニックを長く続ける一番の方法だと考えています。

④患者としての自分目線

「先生のお話を聞いていると、経営者としてというより患者さんの立場だったらどう感じるかをすごく大事にされていますよね。」

そうですね。実際に自分が患者だったらどう思うかを常に考えるようにしています。
もし私が受ける側だとしたら、最初から『5回コース』『10回コース』なんて言われても不安でしかありません。

「たしかに…。合うかどうか分からないのに先に何十万円も払うのは勇気がいりますね。」

そうですよね。私はむしろ、「まずは1回受けてみて考えたい」と思います。
そして、もし合わなかったら別の治療に切り替えたい。そういう柔軟さがあってほしいんです。だから患者さんにも同じ環境を用意したかったわけです。

「なるほど。『都度払い』ならその自由がありますね。」

ええ。それにもうひとつ大事なのは、『行くたびに大切にしてもらえるか』という点です。
コースでお金を先に払った後よりも、1回ごとに支払う方が、毎回こちらも誠実に対応しやすい。患者さんにとっても『今日もきちんと迎えてもらえた』という安心感があると思います。

「確かに。都度払いって、ただ料金の仕組みの話じゃなくて、気持ちの部分にも関わってくるんですね。」

私自身、美容医療は『ぜいたく』ではなく『日常の延長』であってほしいと考えています。
だからこそ、通いやすさや安心感はとても重要です。コースで安くするよりも、都度払いで納得できる価格にして、その時その時に最良の選択をしてもらう。
その方が患者さんにとっても長く続けやすいと思っています。

「患者目線での安心感、すごく伝わってきます。自分が受ける立場だったら…っていう先生の想像力が、このクリニックの雰囲気を作っているんですね。」

ありがとうございます。結局、自分が患者として『こうあってほしい』と思う医療を、そのまま形にしているだけなんですけどね。

⑤医療ローンを導入しない理由

「ここまで聞いてきて、やっぱり『誠実さ』が軸にあるんだなと感じます。でも、もうひとつ疑問があって…。先生のところは『医療ローン』も扱っていないですよね? あれも業界では一般的だと思うんですが…」

そうですね。医療ローンは美容医療では当たり前のように使われています。
ただ、当院では導入していません。
その理由は大きく2つあります。

ひとつは、そもそも美容医療(特に美容皮膚科)で行う施術は『ローンを組んでまで受けるべきものではない』と考えているからです

「どういう意味ですか?」

たとえば心臓の手術や命に関わる医療なら、高額でもローンを組んででも受ける意味があると思います。
でも、美容医療はあくまで生活をより快適にするためのものだと考えます。
多くの施術は継続が必要ですし、日常のお小遣いや生活費の中でやりくりできる範囲で受けるのが健全だと思うんです。
決して美容医療を軽んじているわけではないことをご了承ください。

「なるほど、確かに必須ではなく続けやすさが大事なんですね。」

もうひとつの理由は、ローンがあることで『本来は支払えない金額』を無理に契約してしまうケースがあることです。
特に広告で安く見せかけて来院を促し、カウンセリングで高額ローンを組ませるやり方は昔からよくありました

「ああ、聞いたことあります。『最初は安い体験料金』で、行ったら結局高い契約を迫られるっていう…」

先ほども触れましたが、私も学生時代に経験したんです。
雑誌に載っていた『500円くらいの体験脱毛』に行ったら、カウンセリングの最後に何十万円ものコース契約を迫られました。
まだ学生でしたからとても払えないことを伝えたら、ローンがあるから大丈夫と一方的に言われ、強い不安だけが残りました。 その時の嫌な記憶が今でも鮮明に残っています。

「ご自身の経験があるからこそ、患者さんに同じ思いをさせたくないんですね。」

そうなんです。美容医療を受けたい気持ちは大切にしつつも、その人の生活を圧迫してまで契約させるのは本末転倒です。
だから当院ではローンは扱わず、あくまで『今できる範囲で安心して続けられる医療』を提供する。それが私のポリシーです。

まとめ

「先生、今日は『都度払い制』にこだわっている理由をたっぷり聞けて、とても勉強になりました。改めてまとめると…」

あ、最後のまとめですね。承知しました。まとめですが、まず、経営だけを考えればコースやローンを導入した方が楽で儲かる。
でもそれをやらなかったのは、患者さんにとって安心できる医療を提供したかったからです、ということです

「そして、コース契約や回数券には「予約を取りにくくする」や「対応の差」といった人間の弱さが生まれてしまう可能性がある。結果的に信頼を失い、倒産したクリニックも少なくない、と。」

はい。医療である以上、誠実さを欠くやり方はしたくありませんでした。
それに、自分自身が患者の立場なら『まず1回受けてみたい』『もし合わなければ別の施術に切り替えたい』と思います。
その素直な気持ちをそのまま仕組みにしたのが『都度払い制』なんです。

「さらに、医療ローンを導入していないのも同じ理由ですね。美容医療は命を救う治療ではなく、生活をより快適にするもの。ローンを組んでまで無理して受けるものではない、と。」

そうです。続けやすさが何より大切ですし、過去に自分が高額ローンを迫られた経験からも、同じ思いを患者さんにさせたくなかった。 だから都度払いで、手が届く範囲の価格設定にしています

「今日のお話を聞いて、『都度払い制』って単なる料金システムの話じゃなくて、先生の医療に対する姿勢そのものなんだと感じました。毎回の施術を新しい気持ちで迎えてくれる、その安心感が患者さんに伝わっているんだと思います。」

ご理解いただきありがとうございます。結局、私たちが守りたいのは『患者さんの信頼』なんです。
利益を優先するより、ひとりひとりに誠実に向き合い、毎回を大切にする。その積み重ねが、クリニックを長く続ける一番の道だと信じています。

「なるほど…。今日のインタビューで、都度払い制にこだわることがトータルスキンクリニックさんらしさそのものだとよく分かりました。」

ご予約枠には限りがございますので、ご希望の方はお早めにご相談・ご予約をお願いいたします。

引き続き、皆様のご来院を心よりお待ちしております。

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