美容医療で後悔しない人の考え方 ——院長がカウンセリングで見ているポイント

美容医療で後悔する人としない人は、何が違うのか。
施術の種類でも、予算でもなく、「考え方」に差がある——というのが、年間約2万人の診療を行うトータルスキンクリニック院長の見解だ。
毎日カウンセリングをしている院長に、率直に聞いてみた。
美容医療で後悔しやすい人の共通点

先生、今日は「美容医療で後悔しない考え方」というテーマで聞かせてください。
患者さんから「やって後悔した」という相談は、実際にありますか?
ゼロではないです。ただ、把握している限りでは1%にも満たないです。
当院には年間およそ2万人の方にいらしていただいていますが、クレームや「後悔した」という声はほとんどありません。

それは素晴らしいですね。
ただ、当院に届いていないだけという可能性は十分にあると思っています。
だからこそ、カウンセリングでの期待値のすり合わせは重要だと感じています。
後悔された方に共通しているのは、やはり期待値が大きすぎるケースです。
クレームになったこともあります。

後悔しやすい人には、何か共通点があるのでしょうか。
あります。よく見ているとパターンがあるのです。
美容医療で後悔する人には、どんな共通点があるのか
①目的が曖昧なまま施術を選んでいる

「目的が曖昧」というのは、どういうことですか?
「なんとなく若くなりたい」という気持ちはわかりますが、それは目的ではなくて感情です。
どこが気になっているのか——シミなのか、たるみなのか、くすみなのか。
そこが決まらないと、何をすればいいかが決まらないのです。

「手段から先に決めてくる」方もいますよね。
多いですね。「ハイフをやりたい」「糸を入れたい」と最初から決めていらっしゃる。
「なぜそれをやりたいんですか?」と聞くと、「SNSで見て」「友達がやっていたから」が大半です。
それが合っていれば問題ないのですが、合っていないこともあります。
②他人の症例をそのまま自分に当てはめている

SNSの症例写真を見て「私もこうなりたい」という方は多そうですね。
とても多いです。ただ、顔は全員違います。
年齢も骨格も皮膚の状態も違う。
同じことをしても、結果は人によって全然違います。
インフルエンサーの写真が「自分にも当てはまる」とはならないのです。

では、症例写真は参考にならないのでしょうか?
「こういう変化が起き得る」という情報としては使えます。
ただ、「どんな状態の人に、何をした結果なのか」が分からないと、参考の精度が低い。
そこを確認せずに直結させてしまうのが問題です。
③リスクをきちんと理解していない

リスクへの理解不足は、どういう形で出てきますか?
ダウンタイムが想定外だった、というのが典型例です。
「腫れるとは思っていなかった」「1週間も休める想定ではなかった」——説明はしているはずなのですが、伝わっていないことがあります。
色素沈着も、事前に可能性をお伝えしていても「自分には起きないと思っていた」というケースがあります。

「説明は受けたけど、理解はしていなかった」という感じでしょうか。
そうだと思います。カウンセリングというのは、患者さんが緊張していたり、気持ちが高ぶっていたりする場なので、情報が入りにくい状態なのです。
ですから書面をお渡しして、後から読み返せるようにしています。
重要なことは繰り返す。
それでも伝わらないことはある——というのが正直なところです。
POINT|後悔しやすい人の共通点
- 施術名から先に決めている
- 他人の症例を自分に直接当てはめている
- ダウンタイムや変化の幅を甘く見ている
後悔しない人は何が違うのか


反対に、後悔しない人というのはどういう方ですか?
①目的から逆算している
「何を変えたいか」が明確な方です。
「目元の小ジワが気になる」「頬のたるみが嫌だ」と具体的におっしゃれる方は、カウンセリングがしやすいですし、満足度も高い。
施術はあくまで手段だと分かっていて、手段そのものへのこだわりが薄いのです。

施術名より、自分の悩みが先にある、ということですね。
②1回で完璧を求めない

「1回でどうにかしたい」という方は難しそうですね。
難しいです。たるみもシミも、長い時間をかけて作られたものが多い。
それが1回で全部解決するのは、やはり現実的ではありません。
後悔しない方は、「今日より半年後、半年後より1年後」という積み重ねの感覚を最初から持っていらっしゃいます。
だから1回にそこまで期待されない。

リスクへの向き合い方も違いますか?
かなり違います。 「ダウンタイムがある」「必ず効果が出るとは限らない」を込みで判断されている方は、結果が想定の範囲に収まります。
最初から腹が決まっていますから、後から慌てることがない。
③「やらない選択」ができる

「やらない選択」というのは?
カウンセリングにいらしても、「今じゃないな」という結論になることがあります。
別の施術の方が合っているとか、今の状態ではまだ時期ではないとか。
実際、毎日1〜2名の方は、カウンセリングの結果、その日は施術しないという結論になります。
来ていただいたからには何かしなければ、とは思っていません。

院長自身が「やめた方がいい」とおっしゃることもあるのですか?
あります。 やってさしあげた方がその場では喜んでいただけるのはわかっています。
ただ、長期的に適切でないと感じたら、言います。
やらない判断が一番難しいのです、正直。
自分が患者だったらどうか、という基準だけは崩さないようにしています。
POINT|後悔しない人の考え方
- 悩みが先にあって、施術は後から選ぶ
- 積み重ね前提で、1回に過剰な期待を持たない
- 「今はやらない」という選択に、焦らず向き合える
カウンセリングで実際に見ているポイント


先生はカウンセリングで、患者さんの何を見ているのですか?
ちなみに、カウンセリングはどのくらいの時間がかかりますか?
時間は5分から20分ほどです。内容によって変わります。
見ているのは、まず悩みが具体的かどうかです。
「なんとなく老けた気がする」より「目の下のクマが気になる」の方が、話が早い。

ほかには?
リスクをどこまで受け入れられるか、ですね。
ダウンタイムを取れる生活環境なのか、仮に効果が出にくかったとき、心に余裕があるか。
それと、続けられるかどうか。
美容医療は継続してこそ意味がある場合が多いので、「1回で終わりにしたい」とおっしゃる方には、最初から別の選択肢をご提案します。

理想と現実のすり合わせも、されていますか?
必ずします。 期待値が高すぎると、どんな結果でも「思っていたより」となってしまいます。
今の状態からどの程度の変化が現実的に期待できるか——そこを最初にお話ししておくのが、後悔を減らす一番の近道だと思っています。
当院はリピーターの方が8割ほどいらっしゃいます。
長くお付き合いする中で、最初のカウンセリングでは出てこなかった本音や隠れた悩みが見えてくることも多い。
それが積み重ねの中でできる、カウンセリングの醍醐味でもあります。
カウンセリングの結果、施術が変わることもある

カウンセリングの結果、最初にご希望されていた施術が変わることもあるのですか?
毎日数名の方が、そういうケースです。
話を整理していくと「そちらの方が合っている」となることは少なくありません。
ただ、当院は機械も人員もほぼ埋まっていることが多いので、その場で対応できず別日になってしまうことも正直あります。
ご不便をおかけすることもあり、申し訳ないのですが。
カウンセリング前に、自身で準備できること

カウンセリングに来る前に、ご自身で準備できることはありますか?
強いて言うなら、「なんとなく気になっている」という感覚だけでも持ってきていただければ十分です。
全部決まっている必要はまったくありません。「老けた気がする」「なんか疲れて見える」——それだけでも、話は始められます。
何も決まっていない状態でいらしていただいて、一緒に整理するのがカウンセリングですので。
POINT|院長がカウンセリングで確認していること
- 悩みの具体性(どこが・どう気になるか)
- リスクの許容度と生活環境
- 継続できるかどうか
- 期待値が現実と合っているか
施術選びで一番大事なこと

素人目線だと「強い施術=良い施術」と思いがちですよね。
この誤解は多いです。強い施術はリスクも高い。
「合っているかどうか」の方が「強いかどうか」より大事で、そこを間違えると後悔につながります。

例えば糸リフトにも、合う人・合わない人がいますよね。
います。たるみの程度、皮膚の状態、骨格——いろんな要因で変わります。
合わない方に無理に入れても、お互いにいいことがありません。
他にはトーニングも同じです。肝斑がある方には積極的に使います。
肝斑を悪化させずにメラニン色素を減らせる、というのは他の施術では難しいことですから、そこは大きなメリットです。
ただ、それ以外の方にはあまり勧めていません。
続けることで肌全体のトーンアップは期待できますが、局所のシミが薄くなるかというと正直かなり限定的です。
「シミが気になるからトーニングを」という目的でいらした方には、最初に整理しておかないと満足いただけないことが多いのです。
「何でもやります」より「合わないと思ったら正直に言います」

「合っているかどうか」を判断するのが、カウンセリングの役割なんですね。
そうです。「この施術が流行っている」ではなくて、「この方に今何が必要か」——そこだけ考えています。
クリニックを選ぶときも、「何でもやります」より「合わないと思ったら正直に言います」という姿勢のところの方が、長い目で見て安心できると思いますよ。
美容医療に「正解」はあるのか


最強の施術というのは、存在するのですか?
ないです。断言していいと思います。
状態・目的・リスク許容度の組み合わせで、その方にとっての正解が変わります。
だから正解は一つではないし、同じ方でも時期によって変わります。

「これさえやれば若返る」という情報、SNSでよく見ますが。
割り引いて見た方がいいです。
効果があるのは事実かもしれませんが、「あなたにも当てはまる」は別の話です。
一般論と個別の話を混同しやすいのが、美容医療の情報の難しいところです。

その方にとっての正解は、どこで見つかるのでしょうか。
「今の状態」と「何を変えたいか」と「どこまでリスクを取れるか」——この3つが交わるところにあります。
だからこそカウンセリングがあります。
情報を集めるだけでなく、対話を通して整理していく作業が必要なのです。
POINT|美容医療に普遍的な正解はない
「状態 × 目的 × リスク許容度」の組み合わせで、最適解は人によって、時期によって変わる。
まとめ

改めて、後悔しないために一番大事なことは何でしょう?
情報より、判断基準だと思います。
情報はいくらでもある時代ですが、それが自分に当てはまるかどうかを判断する軸がないと意味がありません。
「なぜこの施術なのか」「自分の何が気になっているのか」——そこを整理してからカウンセリングにいらしていただけると、こちらもより良いご提案ができます。

「合う施術を選ぶ」という考え方が、このクリニックの根っこにありますね。
売れる施術より、合う施術を。そこは変えるつもりはありません。

院長コメント
Dr. 分山博文
「何をしたいか決まっていないから、まだ行けない」と思っていらっしゃる方がいれば、その心配は不要です。決まっていない状態でいらしていただいて構いません。何が気になっているのかを一緒に整理するところから始められますので、まずはお気軽にカウンセリングにいらしてください。
よくある質問
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美容医療で後悔しないためには何が大事ですか?
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「何をしたいか」より「何が気になっているか」を先に整理することが大事です。施術名から入るのではなく、自分の悩みを言語化してからカウンセリングに臨むと、満足度が上がりやすいです。
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カウンセリングに行く前に、何か準備が必要ですか?
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特別な準備は必要ありません。「なんとなく老けた気がする」「疲れて見える」という感覚だけでも十分です。何も決まっていない状態でいらしていただいて構いません。
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カウンセリングに行ったら、必ず施術を受けなければなりませんか?
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そのようなことはありません。
当院では毎日1〜2名の方が、カウンセリングの結果その日は施術しないという結論になります。来院イコール施術ではありません。
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初めて美容医療を受けるのですが、どんな方が来ていますか?
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当院では初めて美容医療を受ける方が約半数です。
年代は30〜40代が中心で、「何から始めればいいかわからない」という方も多くいらっしゃいます。
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他のクリニックで満足できなかった場合でも相談できますか?
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もちろんです。当院に来院される方の約1割は、他院での経験に納得できず転院された方です。まずはカウンセリングでご相談ください。

分山 博文(わけやま ひろふみ)
医療法人茜会 理事長/美容皮膚科 トータルスキンクリニック院長(福岡天神院・松山院)
最後に ~ 院長ブログについて ~
本記事は、福岡・天神の美容皮膚科「トータルスキンクリニック」院長・分山博文が、日々のカウンセリング経験をもとに執筆しています。
上手な言い回しは苦手ですが、誠実な美容医療を届けたい気持ちは本物です。
だからこそ、言葉だけは自分で紡ぎたいと思っています。
ちょっと不格好でも、この文章が誰かにそっと届けば嬉しいです。





