美容クリニックの選び方を、分山医師に聞いてみた。


分山先生、ちょっとよろしいですか。
知人から「美容クリニックに行きたいんだけど、どうやって選べばいい?」って聞かれたんですよ。
私、毎日ここで働いていますけど、正直うまく答えられなくて。先生ならどう答えますか?
難しいですね。正直、これだという選び方はないと思います。

ないんですか。
ないです。SNSを見ても、どのクリニックも良いことしか書いていない。
当院も人のことは言えないんですが、SNSで発信するのは基本的にいいことしかありません。
Googleの口コミも、今はお金で動かせる時代です。
職員に書かせたり、モニターの患者さんにその場で書いてもらったり、そういう話は普通にあります。
友人からの紹介も、紹介した側と紹介された側の両方にポイントがつく仕組みのこともあれば、本当に良かったから教えてくれているだけのこともある。
どちらかを見分ける方法が、ほぼないんです。

じゃあ結局、どこも同じってことですか?
そういうことでもないんですが……全部嘘だとは言わないですけど、良い情報を探せばいくらでも見つかるし、悪い情報を探せばそれも出てくる。
ただどちらが本当のことかは、外からではほぼわからない。難しい話をしてしまっていますね。
「オープンチャットなら本音がある」とも言われていたが


一時期、オープンチャットには本音が集まるって聞いたことがあります。
ありましたね、そういう話。
でもその数か月後には、クリニックのスタッフをオープンチャットに潜入させていたという話が出てきまして。
まあ、そういうことです。

……なんか、怖い話ですね。
必死になる気持ちはわかるんです。
美容医療は自由診療だから、保険がきかない分、利益を出さないと潰れる。
ただ、その必死さがどこに向いているかで話は全然違う。
患者さんのためなのか、集患のための操作なのか。

先生のところは大丈夫ですよね?
……そう思いたいですけど、自分のことは自分では判断しにくいので。
「医者がオーナーかどうか」は一つの目安、と言いつつ歯切れは悪かった

でも、何か参考になることはないんですか。少しでも。
うーん……あるとすれば、クリニックのオーナーが医者かどうかは、一つの目安にはなるかもしれない。
ただこれも言ったそばから言いにくくなるんですが、医者がオーナーでも、どこよりも非人道的な稼ぎ方をしているクリニックは実際にあります。
だから絶対的な基準ではない。

それだと、結局わからないじゃないですか。
そうなんですよ。ただ、少なくとも僕が関わってきた範囲では、医者がオーナーのところは仁術的な考えがベースにあると感じています。
医者を志す時点では、お金を稼ぎたいというより患者さんの役に立ちたいという気持ちがある人が多い。
いろんな経緯でお金目当てになっていったとしても、ゼロにはなっていないことが多い。
企業が入ってくる場合は、どうしても最初に利益の話になりやすいですよね。
そこは、医者が始める場合とはやっぱり少し違うと思います。


それって、調べればわかるものですか?
法人情報を調べればある程度は出てきますが、そこまでやる人はそういないでしょうね。

実際に差が出るのって、どういう場面ですか?
トラブルが起きたときが一番わかりやすい。
たとえばレーザーで火傷が出たとして、医者がオーナーであれば無償で対応することもある。
でも利益ありきのクリニックだと、それも有償と規定で決まっていたりする。
それだけじゃなくて、たとえ勤務している医者が「この患者さんには無料で対応してあげたい」と思っても、非医師のオーナーが許可するとは思えない。
コストの話になりますから。雇われている医者は、どうしようもないんです。

経営の相談内容にも、違いって出るんですか?
出ますね。僕の知人に、不動産業をやりながら美容クリニックも経営している人がいて。
その方から経営の相談を受けることがあるんですが、「どの施術が利益率が高いか」という話がメインになる。
一方、医者の経営者からの相談は「どの治療が患者さんの満足度を高めるか」という話が多い。
どちらが正しいというわけではないですが……やっぱりちょっと寂しいですね。寂しいという表現が適切かわからないですが。
「葛藤がある」と言っていたが、かなり正直な話だった

分山先生自身は、どうなんですか。そのへん。
葛藤はありますよ、正直。クリニックは売上がなければ潰れる。
潰れたら患者さんも困る。だから数字は気にしないわけにいかない。
ただ、不要な施術を売って数字を作ることと、必要な施術を丁寧にやって続けてもらえることは、話が全然違う。
不要なものを売った方が短期的には数字は出やすいですが、それをやり続けるとどこかでつじつまが合わなくなってくる。
……というのが建前で。本音を言うと、「これで本当にクリニックが続くのか」という不安は今もあります。
なくなったことはないですね。

分山先生みたいに、こんな本音を話してくれる先生はなかなかいないと思います。
格好いいことだけ言っていても仕方ないので。
ただ、だからといってやってはいけないことはやらない。それだけは、開業してから変えていないつもりです。つもり、ですが。
最後に、一つだけ聞いてみる方法を教えてもらった


結局、知人には何と伝えればいいんでしょうね。
一つだけ、面白いかもしれない方法があって。
その業界に勤めている人に、「自分のクリニック以外でどこかを紹介するとしたら、どこを薦める?」と聞いてみることです。

聞きにくい質問ですね、それ。
聞きにくいですよね。でも内部にいると、いろいろ見えますから。
「ここは知り合いには勧められない」と思っているスタッフもいれば、本当に信頼して働いているスタッフもいる。
その場の反応だけでも、なんとなく空気は見えてくると思います。

ちなみに分山先生、当院のスタッフに同じことを聞いたことはありますか?
……まだないですね。怖いんでしょうね、やっぱり。自分が。
この話から出てきた視点(正解ではありません)
「これで選べば大丈夫」というものではなく、分山医師本人もそう言っていません。
ただ、何も知らないよりはましかもしれない、という程度のものです。
- SNSはどのクリニックも良い情報しか出さない。当院も例外ではない
- Googleの口コミは今、お金で買える時代。件数が多くても鵜呑みにしない
- 友人紹介も「特典目当て」と「本当に良かった」の両方がある
- クリニックのオーナーが医師かどうかは、万能ではないが一つの目安にはなる
- トラブル時の対応に、そのクリニックの本音が出やすい
- 業界に勤める人に「他でどこか薦めるとしたら?」と聞いてみる

分山 博文(わけやま ひろふみ)
医療法人茜会 理事長/美容皮膚科 トータルスキンクリニック院長(福岡天神院・松山院)
最後に ~ 院長ブログについて ~
本記事は、福岡・天神の美容皮膚科「トータルスキンクリニック」院長・分山博文が、日々の経験をもとに執筆しています。
上手な言い回しは苦手ですが、誠実な美容医療を届けたい気持ちは本物です。
だからこそ、言葉だけは自分で紡ぎたいと思っています。
ちょっと不格好でも、この文章が誰かにそっと届けば嬉しいです。




