ボトックスの失敗・デメリットを正直に話します── 患者さんの疑問に全部答えてみた

はじめまして。鯉江めぐみと申します。
院長ブログをお借りして、今回は私が書かせていただきます。
少し前のことになりますが、診療中にボトックスのことをとても熱心に聞いてくださった患者さんがいて。
そのやり取りが思いのほか充実していたので、ブログにまとめることにしました。
「ボトックス、気にはなってるんだけど……」という方に、少しでも届けばいいなと思っています。
- ボトックスは美容医療の「最初の一歩」にしやすい施術
- 失敗例で多いのは「効きすぎ」「おでこで目が開けにくくなる」「エラがこける・たるむ」
- いずれも事前カウンセリングと技術の調整でリスクを小さくできる
- シワは刻まれる前の予防が有効。早めに始めることをすすめています
- 当院では毎日10人以上の方にボトックスを施術しています
「ボトックス、気になっているけど怖い」その気持ち

時間を取っていただいて、ありがとうございます
診察が終わったあと、その患者さんがこう言いました。

ちょっとだけ、色々聞いてもいいですか?ボトックス、気になってはいるんですけど、怖くて踏み切れなくて。
美容医療を始めるにあたって、ボトックスから入る方は多いんです。
注射の施術の中では比較的ダウンタイムが少ない。費用も抑えやすい。効果も分かりやすい。ハードルは低い方だと思います。
私自身が最初にボトックスを体験したのも、まさにそういう気持ちからでした。
医師になりたてのころ、「とりあえず眉間だけ」と打ってもらって効果を実感してから、少しずつ範囲が広がっていきました(笑)。
ボトックスに失敗はあるのか


「失敗って、あるんですか?」
「失敗」という言葉を使っていただいたので、正直に答えました。
あります。
ただ、何をもって「失敗」とするか、によって話が変わってきます。いくつかに整理してお話しします。
効きすぎて、つらい思いをすることがある
ボトックスは筋肉の動きを抑える薬です。狙い通りに効いてくれれば問題ないのですが、効きすぎると困ることが出てきます。
たとえば、笑ったときに顔が動かない感じがする。表情が思ったより硬くなった。
「なんか変な顔になった気がする……」と。
女性にとってこれは、結構つらいんですよね。会話の中での表情って、言葉と同じくらい大事じゃないですか。
目が笑っていない、リアクションが薄く見える——そう思われたくない気持ち、私もよくわかります。
だから事前のカウンセリングが大事なんです。
実際に表情を動かしてもらいながら、筋肉の動き方を確認して、量や場所を調整していく。
「とりあえず多め」は、ボトックスには通用しません。
エラのボトックスで、こけたりたるんだりするのはなぜか

「エラにボトックスを打つと、こけるって聞いたんですが……」
あります。エラのボトックスは、肥大した咬筋——かみ締める筋肉——に打ちます。筋肉の動きが弱まると、筋肉自体が少しずつ小さくなっていく。
エラが張っている方は、その筋肉の「ボリューム」がフェイスラインを支えている部分があります。
筋肉が縮むと、そこが凹んだり、皮膚が余ってたるんで見えることがある。
失敗というより、「もともとエラの筋肉が大きかったことで保たれていたボリュームが、素の状態になった」ということです。
同じように、肩のボトックスを打ったあとに腕が上げにくくなる、という話もあります。肩こりの緩和目的で打つことがありますが、その筋肉が普段やっている動きに、多少なりとも影響は出ます。
どのリスクをどこまで許容するか、目的と照らし合わせながら相談するのが大事です。
おでこのボトックスで目が開けにくくなるのはなぜか


「おでこにボトックスを打ったら、目が開けにくくなったって聞いて、それが一番怖いんですよね」
気持ちはよくわかります。ただ、これは少し丁寧に説明する必要があります。
おでこにシワが刻まれはじめる年代の方は、多くの場合、まぶたにたるみが生じています。
そのたるみをカバーするために、無意識におでこの筋肉(前頭筋)を使って眉毛を持ち上げているんです。
その結果として、おでこにシワが寄っている。
ここにボトックスを打って筋肉を抑えると、眉毛が上がりにくくなる。すると、もともとあったまぶたのたるみが、より表に出てくる。
「目が開けにくくなった」というのは、ボトックスがまぶたに入ったわけでも、予想外の場所に効いたわけでもなく、「これまで筋肉でカバーしていたたるみが、素の状態になった」ということです。
この合併症はゼロにはできません。でも、小さくすることはできます。
打つ量の調整、注射する深さの調整、位置の調整。色々な工夫を組み合わせながら、デメリットを最小限にしていく。
そこが腕の見せどころではあるのですが、限界はある、というのも正直なところです。
「目が開けにくくなるのが怖い」という方はたくさんいます。
だからこそ、その仕組みをちゃんとお伝えした上で、どこまでを優先するか、一緒に考えたいと思っています。
ボトックスはいつから始めるのがいいか

「じゃあ、ボトックスっていつ始めるのがいいんでしょう?」
これはよく聞かれます。
シワには「表情ジワ」と「静止ジワ」があります。表情ジワは動いたときにできるジワ。
静止ジワは、何もしていなくても刻まれているジワのことで、固定ジワとか刻まれジワと呼ぶこともありますね。
静止ジワになってしまうと、ボトックスだけでは消すことが難しくなります。
ヒアルロン酸を入れたり、フラクショナルレーザーで皮膚を整えたりといった追加の治療が必要になってくる。
表情ジワの段階でボトックスを使っておくと、筋肉の動きが抑えられるので、シワが深く刻まれにくくなります。
予防の意味でも、早めに始めることは有効です。
「まだ早いかな」と思っている方の方が、むしろ始めやすいタイミングだったりします。
私は長い間、沖縄に住んでいたんですね。あの紫外線の強さは本当に別格で。
日差しのせいもあってか、シワやシミのスタートが早い方が多かった印象があります。
早めのケアって大事だな、と本当に実感しました。今いる福岡も、油断はできないですよ。
私自身も、定期的に打っています


「先生自身は、打ってるんですか?」
打っています。眉間と目尻がメインです。自分で打つことはさすがにできないので、院長に打ってもらっています。
患者さんにすすめている施術ですし、自分でも体感しておきたいんですよね。
あと——これは正直な話ですが——鏡を見たときに「あ、今日いい顔してる」と思えるかどうかって、女性にとってわりと大事なことだと思っていて。お守りみたいな感覚もあるんですよね。
鹿児島出身なもので、もともと「美容にお金をかけるなんて」みたいな感覚が少しあったんですよ。
じゃっどん、今は全くそう思わないですね(笑)。
自分がちゃんとしていることで、仕事にも気持ちにも、良い影響がある。そう感じてから、美容医療との向き合い方が変わりました。
最後に
毎日、10人以上の患者さんにボトックスを打っています。部位も、お悩みも、年齢も、様々です。
「失敗したくない」という気持ちはよくわかります。だからこそ、打つ前に丁寧に話を聞かせてください。
ボトックス、気になっている方はぜひ一度ご相談を。一緒に考えます。
よくある質問
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ボトックスの失敗例にはどんなものがありますか?
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効きすぎて表情が硬くなる、おでこのボトックスで目が開けにくくなる、エラのボトックスでフェイスラインがこける・たるむ、などが代表的です。
いずれも事前のカウンセリングと量・深さ・位置の調整でリスクを小さくすることができます。
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おでこのボトックスで目が開けにくくなるのはなぜですか?
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まぶたのたるみを前頭筋で補うように眉毛を上げている方が多く、ボトックスでその動きを抑えると、もともとあったたるみが表に出てきます。構造的に起こりやすい合併症のひとつで、打つ量・位置の調整である程度リスクを抑えることができます。
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エラのボトックスでこけたりたるんだりするのはなぜですか?
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エラの咬筋が大きい方は、その筋肉のボリュームがフェイスラインを支えています。ボトックスで筋肉が縮むとボリュームが失われ、凹んだりたるんで見えることがあります。「筋肉が大きかったことで保たれていた形が素の状態になった」ということです。
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ボトックスはいつ始めるのがいいですか?
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動いたときだけ出る「表情ジワ」の段階で始めるのが理想です。
何もしていなくても刻まれる「静止ジワ」になると、ボトックスだけでは対応が難しくなります。予防の観点から、早めに始めることをおすすめしています。
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ボトックスのデメリットを教えてください。
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表情筋への注射は、眉毛が下がる・笑顔が硬くなるなど、これまでの表情に影響が出ることがあります。
エラや肩など筋肉が肥大した部位への注射は、その筋肉の動きが弱まることで形や機能に影響が出る場合があります。
事前カウンセリングで目的とリスクを整理することが大切です。

Dr. 鯉江めぐみ
美容皮膚科 トータルスキンクリニック院長(福岡天神院)
最後に ~ 院長ブログについて ~
本記事は、福岡・天神の美容皮膚科「トータルスキンクリニック」院長・鯉江めぐみが、日々の経験をもとに執筆しています。
美容皮膚科医。沖縄での長期勤務を経て福岡へ。ボトックスをはじめとした注射施術を中心に、毎日10名以上の患者さんを担当しています。




