“口コミ”と向き合うということ

「信頼は、少しずつ育てていくもの。」
派手な宣伝よりも、目の前の患者さんに真摯に向き合うことを大切にされているトータルスキンクリニック。
美容医療において“口コミ”が与える影響はとても大きい今、評価に左右されすぎず、あくまで誠実な医療を届けたい――。
そんな想いで日々診療を続ける院長に、率直なお話をうかがいました。

インタビューは私、山田が担当します。
お久しぶりです。どうぞよろしくお願いします。
POINT
- “やらせ口コミ”が業界で横行する中、あえて誠実な方法を選ぶ理由
- 心を動かす体験が、本当の口コミにつながる
- 一方で、たった一言のすれ違いで★1になる現実
- 信頼は「買う」ものではなく「積み重ねる」もの
口コミの影響力について


本日はお時間をいただきありがとうございます。さっそくですが、美容医療において“口コミ”の影響力は非常に大きいと感じますが、院長はどのように受け止めておられますか?
本当にそう思います。 美容医療の世界では、たったひとつの良い口コミが新しい患者さまとのご縁をつなぎ、逆にたったひとつの悪い口コミが信頼を大きく揺るがすこともあります。
その影響力の大きさは、開業以来、身をもって痛いほど感じてきました。本当に痛いほど。痛すぎた。
「たったひとつの良い口コミが新しい患者さまとのご縁をつなぎ、逆にたったひとつの悪い口コミが信頼を大きく揺るがすことも」
口コミが広まる傾向とは


口コミの傾向にも特徴がありますよね。
ほんと。“仲間内の口コミ”――つまり、友人やご家族間での紹介は、良い内容が広まりやすいと感じます。
けれどネット上では、良い体験よりも、ほんの少しの不満が書かれやすいです。
感動したことは口頭で共有され、不満はネットで共有されるという傾向があると感じています。
「感動したことは口頭で、不満はネットで共有されやすい」
口コミを得るための業界の取り組み


ネット上で良い口コミを得るために、業界ではどんな取り組みがされているのでしょうか?
実は、業界でよく見かける“方法”というのがいくつかあります。
- 口コミを強制する方法
- 口コミを“購入する”方法(代行サービスなど)
- 自発的に口コミを書きたくなるような感動を与えること
- 書きやすいよう誘導する仕組みをつくること
①はよく無料施術やモニター施術とかで行われています。 「特別価格で施術を提供する代わりに、口コミを書いてください」とお願いし、時にはその場でスマホを出してもらい、内容を確認しながら書かせるようなケースもあります。
ひどい例だと、「書き終わるまで帰さない」「良い内容になっていないと再記入させる」といったこともあるそうです。
こういった方法は、口コミの数や評価を短期間で一気に高められるため、一部のクリニックでは常態化しています。
②は最近はあまり聞きませんが、いわゆる“口コミ代行サービス”の利用ですね。
専門の業者に依頼すると、スタッフや専属ライターが患者を装って、口コミを書いてくれる。 料金を払えば、件数・内容の長さ・掲載期間まで選べるところもあるようです。
また、これは最近も行われているようですが、職員に複数アカウントを作成させ、投稿させるクリニック様も多いようです。
「業界では、“やらせ”とも取れる方法が一般化している」
“やらせ”に頼らない理由


そのような方法が実際にあるのですね……。
はい、業界では“当たり前”のようになっているところもあります。
でも、私はそこに強い違和感を覚えるんです。
患者さまの信頼って、本来そうやって作るものではないはずですから。
「信頼は買うものではなく、築くもの」
院長が選ぶ口コミのあり方


では、院長が選ばれているのは③と④ですね。
そうです。
③「自発的に口コミを書きたくなるような感動を与えること」は、一番地道で難しいけれど、一番誠実な方法だと思います。「このクリニックのために何かしたい」と思っていただけるような感動体験を提供することです。とてもとても難しいですけれど。
たとえば、以前こんなことがありました。
深夜2時、他院でヒアルロン酸を注入された方がLINEで当院に連絡してこられました。施術を受けた後から、皮膚の状態がおかしくなって。
すでに施術を受けたクリニックは診療時間外で、救急センターでも「明日の午前に施術を受けたクリニックで相談して」と言われ、不安で仕方なかったと。
たまたま私がそのLINEに気づいて、すぐに「今からいらしてください」と返信し、私もすぐにクリニックに向かいました。
明らかな塞栓症状があったため、ヒアルロン酸溶解剤の注射、ステロイドの点滴など即時対応しました。 迅速な処置が功を奏したのか、今は改善傾向にあり、あと数か月もすればきれいに治ると思います。
その方は本当に感謝してくださっていて、何度もお礼をいただきました。
でも……口コミとしては書かれませんでした。
もちろんそれでいいんです。口コミのために動いたわけではありませんし、医療は“評価されるためにやるもの”ではないですから。
「誠実な医療は口コミにならないこともある。」
報われない誠実さもある


誠実な医療の裏に、報われないこともあるんですね……。
まさにその通りです。 一方で、こんなケースもありました。
「他院で入れたヒアルロン酸を失敗されたので溶かしてほしい。このままじゃ人前に出られない」とご相談を受け、費用の心配もあったので「診療時間前にご来院くださいと。事情が事情なので、無料で対応します」とお伝えしました。
ところが、「1回で完全に溶けますか?」と聞かれて「医療ですから、確実とは言いきれない部分があります」と、そのことを正直にお伝えした瞬間にLINEをブロックされ、すぐに★1の口コミが投稿されてしまいました。
どんなに誠実に対応しても、「自分の思った答えと違った」というだけで一方的に評価が下されてしまう。
この現実は、正直なところ、とても堪えますね。
「思った答えと違う」だけで★1になることもある。
口コミを書きやすくする工夫


④の「口コミを書きやすくする仕組み」というのは、どのようなことをされているのですか?
受付でお帰りの際にさりげなく「ご意見などがあればぜひお寄せください」とお声かけすることもあります。
あとは、まだ実践出来ていないのですが、施術後にお礼のメールをお送りする際、口コミのリンクを添えて「もしよろしければご感想を」と添えるような施策を考えています。
ただ、それでもなかなか書かれないのが現実です。
リピーター様にとっては当院が提供する接遇や医療技術は当たり前なので、特別に発信しようとは思われないです。
逆に、初診の方は少しでも違和感を覚えた場合、低評価を即座に書かれることもあります。
「高評価は書かれにくく、低評価は書かれやすい。」
ネット評価と満足度のギャップ


ネット上の評価と、実際の満足度が必ずしも一致しないという現実があるんですね。
それもあるかと思います。
私の知人が運営するクリニック、リピーター率は90%を超えていて、医療の質も素晴らしい。
けれど、ネット上の口コミだけを見ると、そうとは伝わらない。
過剰な“おもてなし”を期待して来られた方にとって、落ち着いた自然な対応が「そっけない」「冷たい」と感じられてしまっているようです。
「ピーターが多くても、口コミでは伝わらないことがある。」
それでも誠実さを貫く理由


それでも、“業界でよく見かける方法”を使わずに、誠実な医療を貫かれている理由とは?
やはり、“信頼は積み重ねるものであり、買うものではない”という思いが根本にあるからです。
当院に通ってくださる方々の安心や満足が、何よりも優先されるべきものだと思っています。
遠回りでも、一人ひとりに丁寧に向き合いながら、結果として「誰かに勧めたい」と思っていただけるクリニックになれたら――それが私の理想です。
今日も、そんな未来を信じて、コツコツと診療を続けています。
「信頼は“積み重ねる”ものであり、“買う”ものではない。」
カッコいい事言いましたが、本音を言えば、もっとたくさん良い口コミが欲しいです。
高評価が欲しいというのが本音の本音です。
誠実に対応したうえでの低評価は、正直しんどいです。もちろん、その患者様はもっとつらい思いになられたのでしょうけど。
モニター募集中
一部の施術ではモニターを募集しております。
症例としてお写真の撮影やSNSでのお写真使用などをお願いしております。
(個人が特定されないように配慮はいたします)
口コミの強制は一切ございませんのでご安心ください。